ネット論壇では、事前の予想に反して田母神俊雄が60万もの票を獲得したことや若年層は田母神支持者が多いという情報が流れたことで「若者の右傾化」論が再燃しているが、これは本当だろうか。
20代限定で選挙を行えば田母神は圧勝するか
見てのとおり、20代の得票数トップは舛添要一であり、田母神は宇都宮健児と拮抗しているため、若者に限定しても田母神当選は起こりえない。
このグラフを見て目に留まるのが、細川護熙に対する世代間の乖離だ。細川の得票率は40代以上では2-3位だが、20代では宇都宮と田母神を大きく下回っている。
なぜ細川は20代の支持を集められなかったのか。
細川はかつて総理大臣を務め、その華麗なる血筋と端正な顔立ちから大衆の人気を博していたが、それは20年も昔の話であり、平成生まれを中心とする若年層への求心力はほぼ皆無と言っていい。細川を強力に支援した小泉純一郎には知名度はあるが、現在の若者は「小泉フィーバー」に熱狂する大人を冷ややかな目で見ていた世代であり、小泉政権の経済政策によって人生設計を破壊されたという被害者意識が強く、最も小泉に反感を抱く世代である。細川が中高年以上の世代から支持され、若い世代に関心を持たれなかったのは当然なのだ。
田母神支持者は右傾化した若者か
上記の調査によれば、田母神票の70%弱は40代以上で占められており、20代の割合はわずか10%にすぎず、田母神の台頭に若年層の影響があるとは言いがたい。田母神の得票に最も関与したのが40代であることを考えると、中高年の右傾化が心配される。
このように、田母神が若者の圧倒的な支持を背景に60万票を獲得したかのような一部マスコミの報道やネットの流言は事実無根であり、「若者の右傾化」とは、若者は常に愚かであってほしいと願う老人の生み出した虚構なのである。